トレーニンググローブは必要?選び方とおすすめ3選
ジムでグローブを着けている人を見て、「あれは必要なのか、それとも格好つけているだけなのか」と迷ったことはないでしょうか。私は最初の半年、完全に後者だと思って素手でやっていました。
考えが変わったのは、デッドリフトの重量が伸びてきたときです。背中も脚もまだ余力があるのに、手のひらの皮が痛くてバーを握っていられないという日が出てきました。鍛えたい場所ではないところが先に限界を迎えていたわけです。
この記事では、グローブが必要な人と必要ない人の線引き、実際の効果とデメリット、パワーグリップやリストラップとの使い分け、そして選び方までを整理します。「とりあえず買う」の前に、自分に要るかどうかから確認してください。
トレーニンググローブは本当に必要か

先に結論を書きます。全員に必要な道具ではありませんが、「手のひらが先に限界になる」段階に入った人には明確に必要です。
手のひらが先に限界になる、とはどういう状態か
バーベルやダンベルの握る部分には、滑り止めのギザギザ(ローレット加工)が入っています。これは意図的に手に食い込む設計で、重量が上がるほど手のひらへの圧力も上がります。
すると、次のような状態が出てきます。
- 狙った筋肉にはまだ余力があるのに、手のひらの痛みでセットを止めている
- マメが潰れて、数日間まともに握れない
- 汗で滑って、落としそうで思い切り引けない
これは「鍛えられていない」のではなく、皮膚という消耗品が先に尽きているだけです。ここを道具で補うのは、手を抜くこととは違います。
いらない人・あった方がいい人
| まだ必要ない人 | あった方がいい人 |
|---|---|
| マシン中心で、バーを強く握る種目が少ない | デッドリフト・懸垂・ローイングをやっている |
| 自重トレーニングが中心 | マメができ始めた/潰れたことがある |
| まだ軽い重量で、手のひらが痛くならない | 手汗が多く、滑って集中できない |
| 握力そのものを鍛えたい時期 | 手のひらの痛みでセットを止めている |
| 手のひらの厚い皮を残したくない事情がある | 手首も一緒に不安がある |
左の列に当てはまるうちは、急いで買う必要はありません。右の列がひとつでも出てきたら、そこが買いどきです。
トレーニンググローブの3つの効果

① マメと擦り傷を防ぐ
いちばん分かりやすい効果です。手のひらとバーの間にパッドが挟まることで、ローレット加工が皮膚に直接食い込まなくなります。
マメができるのは、指の付け根の少し下——バーを握ったときに皮が寄って挟まる位置です。ここが潰れると、握るたびに痛むので下半身の日まで巻き添えになります(スクワットでもバーを支えるために握るため)。
② 滑りを減らして最後の1回を粘れる
グローブの手のひら側には、革や滑り止め加工が入っています。汗をかいた手で金属を握るより、確実にグリップが安定します。
効いてくるのはセットの最後の1〜2回です。限界が近いところで「滑るかもしれない」という不安があると、無意識に力を抜きます。その不安が消えるだけで、追い込める範囲が変わります。
③ 手首を一緒に守れる(リストラップ一体型の場合)

手首まで伸びたベルトが付いているタイプなら、押す種目で手首が反り返るのを抑えられます。ベンチプレスやショルダープレスで手首が痛くなる人は、この一体型が候補になります。
ただし、専用のリストラップほどの固定力はありません。手首の保護を本命にするなら、グローブとは別に用意する方が確実です。違いはリストラップの選び方で詳しく書いています。
デメリットも正直に3つ
良いことばかりではありません。使い始める前に知っておいた方がいい欠点が3つあります。
握力・前腕が育ちにくくなる
グローブは握る負担の一部を肩代わりします。裏を返すと、握力と前腕への刺激はその分だけ減ります。
握力そのものを伸ばしたい時期なら、軽い日は素手にするなどの使い分けが要ります。全種目でずっと着けっぱなしにするのは、目的によっては損です。
厚みでバーの感覚が鈍る
パッドが厚いほど手は守られますが、その分バーが太く感じられ、握りの細かい調整がしにくくなります。厚ければ良いという道具ではありません。
特にベンチプレスのように手の中でバーの位置がずれると危ない種目では、厚すぎるパッドはむしろ不安要素になります。
汗を吸うので臭う
手汗を直接吸い続ける道具なので、手入れをしないと確実に臭います。使ったらバッグに入れっぱなしにせず、広げて乾かしてください。洗えるかどうかを買う前に確認しておくと、後で困りません。
グローブ・パワーグリップ・リストラップの使い分け

この3つはよく混同されますが、解決する問題がそれぞれ違います。ここを取り違えると、買ったのに悩みが消えないということになります。
| 道具 | 解決する問題 | 効く種目 | 効かないこと |
|---|---|---|---|
| トレーニンググローブ | 手のひらの痛み・マメ・軽い滑り | ほぼ全種目 | 握力そのものの不足 |
| パワーグリップ | 握力が先に限界になる問題 | デッドリフト・懸垂・ローイング(引く種目) | 押す種目・手首の保護 |
| リストラップ | 手首が反り返る・手首の痛み | ベンチプレス・ショルダープレス(押す種目) | 手のひらの保護・握力の補助 |
どれから買うべきか
- 手のひらが痛い・マメができる → トレーニンググローブ
- 背中は余力があるのに握力が先に切れる → パワーグリップ
- 押す種目で手首が痛い → リストラップ
私の場合はこの順番で増えました。最初にグローブ、デッドリフトが130kgを超えたあたりでパワーグリップ、ベンチプレスが100kgに近づいてからリストラップです。困ってから買う方が、何を買うべきかも自然に決まります。
種目別|グローブが効く場面・むしろ外す場面
「着けっぱなし」にしている人が多いのですが、種目によって効き方が変わります。ここを分けるだけで、グローブの価値は上がります。
| 種目 | グローブ | 理由 |
|---|---|---|
| デッドリフト | ◎ 効く | 手のひらへの圧力が最も高い。マメの主因はほぼこれ |
| ベントオーバーロー・ラットプルダウン | ◎ 効く | 引く力が手のひらの一点に集中する |
| 懸垂 | ○ 効く | 体重が手のひらにかかる。ただし厚いと滑る製品もある |
| ベンチプレス | △ 薄手なら | 厚いとバーが太く感じ、手の中でずれる不安が出る |
| ショルダープレス | △ 一体型が有効 | 手のひらより手首の反りが問題になりやすい |
| スクワット | △ 好みで | バーは担ぐので手のひらへの負担は小さい。滑り止め目的なら有効 |
| アームカール・前腕種目 | × 外す | 握力・前腕を狙う種目なので、補助すると目的に反する |
| マシン全般 | △ 好みで | グリップにラバーが巻いてあることが多く、素手でも痛くなりにくい |
迷ったときの判断は単純です。「その種目で手のひらが先に限界になっているか」だけを見てください。なっていないなら、着ける必要はありません。
失敗しないトレーニンググローブの選び方5つ
① 指の形(ハーフフィンガーかフルフィンガーか)

市販の大半は指が途中まで(ハーフフィンガー)です。着脱しやすく、指先が出ているのでスマホも操作できます。迷ったらハーフフィンガーで問題ありません。
指全体を覆うフルフィンガーは、指の付け根まで守れる反面、蒸れやすく着脱に手間がかかります。指の付け根にもマメができる人だけが検討すればよい選択肢です。
② パッドの厚み

デメリットの項でも書いたとおり、厚いほど良いわけではありません。目的で選び分けます。
- 薄め:バーの感覚を残したい人向け。ベンチプレスなど押す種目が中心なら薄めが扱いやすい
- 厚め:手のひらの痛みが強い人向け。デッドリフトなど高重量を引く種目に効く
③ リストラップ一体型かどうか
手首にも不安があるなら一体型が便利です。着けるものが1つで済み、準備の手間が減ります。
ただし前述のとおり固定力は専用品に劣ります。「手首も少し安心したい」なら一体型、「手首が本当に痛い」なら専用のリストラップという線引きで考えてください。
④ サイズは手のひら周りで測る

グローブのサイズ表は、多くが親指を除いた手のひら周りを基準にしています。メジャーを指の付け根に一周させて測ってください。
大きすぎると中で手が滑って、かえって握りにくくなります。迷ったら小さい方です。使ううちに革は伸びますが、縮むことはありません。
⑤ 素材と洗えるかどうか
| 素材 | グリップ | 耐久性 | 手入れ |
|---|---|---|---|
| 革(レザー) | 強い | 高い | 水洗い不可のものが多い |
| 合成皮革 | やや強い | 中 | 拭き取りが中心 |
| ナイロン・ポリエステル中心 | 普通 | やや低い | 洗える製品が多い |
週2〜3回使うなら、耐久性の面で革か合成皮革が無難です。臭いが気になる人、こまめに洗いたい人は、洗える表記のある製品を選んでください。
目的別おすすめトレーニンググローブ3選
ここまでの基準にもとづき、目的別に条件を1つずつ挙げます。全部を比べる必要はありません。自分がいちばん困っている点に対応する条件で選んでください。下のカードは、その条件を満たす商品の例です。
最初の1双に選ぶなら|ハーフフィンガー+手首ベルトの標準形
最初の1双は、ハーフフィンガーで手首のベルトが付いた標準的な形を選べば大きく外しません。指先が出るので着脱が速く、ベルトがあるぶん手首の不安にも最低限は対応できます。入門価格帯にこの形の製品が揃っています。
本当に自分に必要かがまだ分からない段階で、高価なものを買う必要はありません。半年使って不満点が見えてから、それを解消する2双目を選ぶ方が失敗しにくいです。
手首も一緒に守りたいなら|リストラップ一体型
手首まで伸びた幅の広いベルトが一体になったタイプです。押す種目で手首が反るのを抑えつつ、手のひらも守れます。着けるものが1つで済むため、準備の手間が減るのも実用的な利点です。
「ベンチプレスで手首が少し痛いが、専用のリストラップまでは要らない」という段階の人に向いています。
長く使いたいなら|革または合成皮革のしっかりした作り
手のひら側に革または合成皮革を使い、縫製がしっかりしたものを選びます。週に何度も使う人ほど耐久性の差が効いてきます。ナイロン中心の安価な製品は、同じ頻度だと傷むのが早くなります。
入門用より価格は上がりますが、安い製品を1年ごとに買い替えるより結果的に無駄が少なくなります。すでに続けられる見通しが立っている人向けです。
買ったあとに確認したい3つのこと
届いてすぐジムへ持って行く前に、家で見ておくと失敗に気づけます。返品できる期間のうちに確認してください。
① サイズが合っているかは「握ってから」確認する
着けただけでは分かりません。実際に何かを強く握った状態で確認してください。次のどれかが出たらサイズが合っていません。
- 握ったときに手のひら側の生地が大きくたるんで、余った布がしわになる(大きすぎる)
- 指の付け根が締めつけられて、開いたときに跡が残る(小さすぎる)
- パッドの位置が手のひらの中心からずれている(形が合っていない)
特に1つ目は要注意です。生地がたるむとその部分が動いてしまい、グローブの中で手が滑るという本末転倒な状態になります。
② 最初は軽い重量で慣らす
新品の革は硬く、指を曲げにくいことがあります。いきなり高重量で使うと、握りが浅くなって危険です。
最初の1〜2回は、いつもより軽い重量から始めて感覚を確かめてください。バーの太さの感じ方が素手とは変わるので、その差に慣れる時間が要ります。
③ 乾かす場所を先に決めておく
臭いの対策は買った日に決まります。使い終わったらジムバッグに入れっぱなしにせず、帰宅後に広げて乾かす——この置き場所を先に決めておくかどうかだけで、寿命がはっきり変わります。
私は玄関に小さなフックを付けて、帰ったらそこに掛けるようにしました。手間を1動作に減らしておかないと続きません。
私がグローブを使い始めた理由と、いまの使い分け

2024年9月にジムに通い始めて、最初の半年は完全に素手でした。マシン中心だったので、実際それで困っていませんでした。
変わったのは2025年7月にパーソナルトレーニングを始めてからです。デッドリフトとローイングが入り、扱う重量が上がるにつれて、背中はまだ引けるのに手のひらが痛くて止めるという回が増えました。指の付け根の下にマメができ、一度潰れてからは握るたびに痛みました。
そこでグローブを導入して、手のひらの問題は解消しました。ただし握力が先に切れる問題はグローブでは解決しませんでした。デッドリフトが130kgを超えたころ、握力の限界が先に来るようになり、そこでパワーグリップを足しています。
2026年6月時点で、ベンチプレスは40kgから100kg、スクワットは55kgから130kg、デッドリフトは135kgまで伸びました。いまは種目ごとに使い分けています。
- 押す日(ベンチ・ショルダープレス):グローブ、必要ならリストラップ
- 引く日(デッドリフト・ローイング・懸垂):グローブ+パワーグリップ
- 軽い日・アームカール:素手(握力を落としたくないため)
結果として言えるのは、先回りして買わなくてよかったということです。困った順に足したので、どれも「何のために使っているか」がはっきりしています。
なお、自分がいまどのくらいの重量を扱えるのかを把握したい場合は1RM(最大挙上重量)計算ツールが使えます。実際に挙げた重量と回数から推定値が出ます。
トレーニンググローブのよくある質問
100均のグローブでも代用できますか
軽い重量で試す分には使えますが、縫製とパッドの耐久性が違うため、高重量では早く傷みます。「必要かどうかを試す」目的なら十分で、続けると決まった時点で買い替える前提なら合理的な選択です。
グローブを着けると握力は落ちますか
着けている間の握力への刺激は減ります。ただし、それで既にある握力が落ちるわけではありません。気になるなら軽い日は素手にするなど、種目や日で使い分けるのが現実的です。
どのくらいで買い替えますか
年数ではなく状態で判断してください。パッドが潰れて手のひらに痛みが戻った・縫い目がほつれた・臭いが取れないのいずれかが出たら替えどきです。特にパッドの潰れは気づきにくく、「最近また痛い」の原因がグローブだったということがあります。
洗ってもいいですか
製品によります。革製は水洗いで硬くなることが多いので、固く絞った布で拭いてから乾かすのが基本です。洗える表記がある製品は、ネットに入れて手洗いか弱い設定で洗い、陰干しで完全に乾かしてから使ってください。
手が小さい・女性でもサイズはありますか
あります。多くのブランドがXS〜Sを用意しています。ただし男女兼用サイズしかない製品では、いちばん小さいサイズでも大きすぎることがあります。女性向けの展開があるブランドか、XSがあるかを買う前に確認してください。
サイズが合わないグローブは、中で手が動いて逆に握りにくくなります。「小さめを選ぶ」の原則はそのままですが、そもそも合うサイズが存在するかの確認が先です。
グローブを着けていると手のひらの皮は薄くなりますか
厚い皮ができにくくはなります。素手で続けると手のひらの皮は硬く厚くなり、それ自体が保護として働きますが、そこに至るまでに何度かマメを潰す過程が入ります。
仕事柄ここを避けたい人(人と手を合わせる機会が多い職種など)は、最初からグローブを使う判断でまったく問題ありません。皮を厚くすること自体がトレーニングの目的ではありません。
チョーク(滑り止めの粉)とどちらがいいですか
目的が違います。チョークは汗を吸って滑りを止めるものですが、手のひらへの圧力は素手のままなのでマメは防げません。グローブは圧力を分散しますが、グリップ力そのものはチョークに劣ります。
加えて、粉が飛ぶため使用を禁止しているジムが多いのが実際のところです。使う前に必ず施設のルールを確認してください。マメが問題ならグローブ、滑りだけが問題で施設が許可しているならチョーク、という整理になります。
ジムに置いてあるものを借りられませんか
グローブの貸し出しをしているジムはほとんどありません。手汗を直接吸う道具なので、衛生面から共用に向かないためです。使うなら自分で用意することになります。
まとめ|困ってから、困っている点に合うものを買う
トレーニンググローブは、全員に必要な道具ではありません。ただし「鍛えたい場所より先に手のひらが限界になっている」なら、それは道具で解決すべき問題です。
- 買いどき:マメができた・手のひらの痛みでセットを止めた・汗で滑る
- 選び方:迷ったらハーフフィンガー、パッドは目的で厚さを決める、サイズは小さい方
- 使い分け:手のひら=グローブ/握力=パワーグリップ/手首=リストラップ
- 注意点:握力への刺激は減る。厚すぎると感覚が鈍る。乾かさないと臭う
私自身、最初の半年は素手で困りませんでしたし、いまも軽い日は素手です。先回りして揃えるより、困った順に足していく方が、道具の意味が分かって長く使えます。
